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「あっ、このヤロ!」
私がピシリと固まっているとすかさず黒い羽根さんが白い羽根さんを殴り飛ばそうとした。
けれどそれは当たらなかったようで。
さらりと躱したその人は白い羽根を羽ばたかせ宙に浮く。
……え、浮い……浮いてる、だと?
「……」
どうやらキャパオーバーのようだ。もうここは深く考えずに現状を整理した方がいいだろう。
取り敢えず寝た状態では何かがあった時素早く対応できないだろうと思い既に考えることを放棄した頭を持ち上げた。
「あ、起きた」
「フン、人間は寝てばっかだな」
……ウン、やっぱり自称現実主義な私にとって今の状況を受け入れることは無理だったみたい。
もう疲れるから考えたくないのに、さっきからこのナニカ達が喋る言葉が頭の中でループしている。
“人間は”って、まるで自分ではない種族を示すかのような言い方……。
それに白い羽根さんは天国連発するし……あれそういえば冒頭のセリフで天使って。
「あなた達、一体“何”ですか」
やっぱりここは考えるよりも聞いた方が良さそうだ。
新手のドッキリか何かだろうと、此の期に及んで現実逃避する私の目に映るのはキョトン顔の二人。
「何って、天使だよ?」
「どう見ても悪魔だろーが」
さも当然とばかりに言い放つ白と黒。
ソウデスカ。やっぱりそうなんですね。
……ということはやはり夢か。
「え?何また寝ようとしてんの?せっかく起きたんだから遊ぼうよ」
「……」
「ああ、それともベッドの上でアソビタイの?それなら―――」
また布団の中に潜ろうとしたらそれこそ悪魔のような囁きで甘美な声を響かせてくる白。
……あれ、あなた一応天使ですよね?その立派な大きい羽根は間違いなく白いですよね?
なんか、想像してたのと違う。
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