飴配り女

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 ダイスケは一心不乱に走り出す。もう被害者を出したくない。自分のせいで、ナオキを死なせたくない。  人気の無い高架下でやっとハナに追いついた。電車も通っておらず、人や動物の気配もない薄暗い場所だった。 「おい!お前はなんでこんなことやっとんや!」 「あ、久しぶり!ダイスケくん!楽しんでもらえた?」 「楽しめるわけないやろ。何がしたいんや!」 「何がしたいって、ダイスケくんに会いたかっただけ。ちょっと有名になったらダイスケくん会いに来てくれるかなって思ったら会いに来てくれた」 「会いたいんやったら誰かから連絡聞いたらええやん」 「そんなんじゃ面白くないでしょ」 「面白い面白くないの問題じゃない!」 「このワンピース覚えてる?ダイスケくんとの初デートの時に着てたの」 「話そらすな!」 「やっぱりダイスケくんってそんな人なんだね。じゃあね」 「じゃあねじゃねーわ!まて!」  ダイスケは、自分に背を向け歩き出すハナを追いかけた。ハナの左肩を持ち、自分の方に向かせた。するといきなり、ハナはダイスケに抱きついた。 「ずっとこうしたかっただけ。ただそれだけなの」  温かい体がダイスケを包み込む。一人の男性がここまで女性を追い詰めることがあるということをダイスケは初めて思い知った。ダイスケは身動きが出来なかった。 「ごめん」 ダイスケはただ一言発するしか出来なかった。
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