飴配り女

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 ダイスケは京都駅に着いて30分ほど経過した頃、一人の奇抜な服に目が止まった。  赤いワンピースの女性だ。  その女性は、自分の想像していた人物と違っていた。想像していたのは、小太りでヨレヨレのワンピースを来た女性だった。だが、そこにいたのは身長が小さく、スラッとした体型の女性だった。だが、この距離では肝心の飴を配っているのかがわからない。なので、もう少し観察してみることにした。  一階に降りて、赤いワンピースの女性の方に近づいていく。遠くから見たら、何か手に持っているのがわかる。背中を向けていたので、出来るだけ顔の見える位置に移動し、こちらを向くのを待った。飴をもらうのはナオキが来てからにしようと考え、遠くから観察しようと試みた。  何かを探すように女性はこちらを振り向いた。  振り向いた瞬間、ダイスケは目をそらした。  切り目で少し色が黒く、鼻筋が通っているあの顔。そしてあの赤いワンピースは……。
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