飴配り女

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 ハナとは高校3年生から大学1年生の最初まで付き合っていた。若気の至りというもので周りに彼女がいるという状況に劣等感を覚え、自分のことが好きだという噂を聞いたハナに告白した。彼女というものが欲しかっただけで、ハナのことは本気で好きにはなれなかった。大学受験も控えていたので、デートも1ヶ月に一回ほどしかしなかった。ハナもガツガツくる女性ではなかったので、自分の受験を心配してか、なにも言ってこなかった。大学に合格し、自分は京都、ハナは大阪と離れることになった。そんなつながりだったため、いわゆる自然消滅という形になった。  携帯電話も新しいものに変えたのでハナの連絡先も消えた。ハナの友達とは接点もなかったため、もう一度連絡先を聞くこともなかった。  そんなハナがなぜ今ここにいるのか。考えられることとすれば、僕を探している。でもそんなことはないだろう。しかし、ダイスケはその直感を捨てきれなかった。
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