美麗双子と共同生活

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あれ?と思ったのはマグカップかな。 いつの間にかできたキズがいつの間にか消えていた。 まあ小さいキズだったし気のせいかなと思ったっけ。 そして極め付けは歯ブラシ。 歯ブラシは長く使っていると毛の部分が横に広がってしまうので消耗品の筆頭だ。 これもそろそろ替えなきゃな〜と思ってた矢先、なんとピカピカの新品になっていたのだ。 さすがにこれには気付いたので、双子に聞いてみた。 「純か粋、新しい歯ブラシ買ってくれた?丁度替えようと思ってたんだよね、ありがとう」 ……といっても、あの時の私は正しい意味で『異変』を感じ取っていたわけではなかったので呑気にお礼を言っただけだ。 しかしその時、不自然にピシリと固まった双子に疑問を持ったのも事実。 「へえ。気付いたんだね。なんとなく内緒にしちゃった」 「あは、変なの。言ってくれればいいのに。もし気付かなかったらお礼言えないじゃん」 「……うん、そうだね。でもなんかサプライズみたいで楽しいからさ」 「……もしかして他にも気付いたやつある?」 「え?他にも?……そうだなぁ、シャーペンとかマグカップは新しくなった気がしたような……え、なにもしかして」 「いや、それは知らないな。気のせいじゃない?」 「だよね〜。我ながら幸せな脳してるわ〜」 うん、本当に私ってば呑気だった。 普通この会話の時点で可笑しく思うよね。 だけど綺麗ににっこりと笑う双子を疑うなんて気持ちは微塵も起こらず。 そのまま私の生活は平和に過ぎていく――筈だった。
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