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「え、と……今更なんだけど、二人は良かったの?私なんかがお邪魔しちゃって……」
思わず口から出てしまった。
こんなこと聞いても意味はない、困らせるだけだってわかってる。
直接二人の否定の言葉を聞いて安心したかっただけかもしれない。
ギュ、とスカートの裾を握りしめていると、次の瞬間感じたのは二つの温かい感触と柔らかな声だった。
「何言ってるの?羅々ちゃんは僕達にとってお姉ちゃんも同然だよ」
「そうそう、それに父さんのいない家を二人で使うのは寂しすぎるし」
「私なんか、なんて言わないで?」
「羅々ちゃんが来てくれてすっごく嬉しいよ?」
「「改めて、我が家へようこそ!羅々ちゃん」」
その時感じた二人の温もりは一生忘れないと思う。
――――否、忘れたくても忘れられない。
間違いなく、引き返すチャンスはその時しかなかった。
しかしこの時の私は、『純粋』なんて名前通りの美麗双子に、裏の顔があるなんて知る由もなかったのだ。
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