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「十五時二十分二十一秒。娘の死亡回避を確認、っと」
そう言うとツバサは、腕に抱えた百合奈の姿を見た。その胸元は何事もなかったかのように、傷口が塞がっている。
「あ、そうだ」
何か思い出したかのような声を呟くと、ツバサは草むらの上に百合奈をそっと寝かせた。そして、気を失って伸びている男へと近づく。
「悪いが今日見たことは全部忘れてもらうぞ」
ツバサはそう言って男の額にゆっくりと右手を近づけた。そして、ありったけの力を指先へと込める。
その直後、パチン! と激しいデコピンの音が、青空の下で盛大に鳴った。
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