役立たず天使

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「……なんだよ、これ」  突然机の上に出されたものに、ツバサの両目が点になる。 目の前には野球ボールぐらいの大きさの、緑のスライムみたいな物体。 あからさまに怪訝そうな表情を浮かべると、ゼツ婆がゴホンと咳払いをした。 「これはある高校生の女の子の新しい『魂』じゃ。お前さんにはこれを持ち主へと届けてもらう」 「はぁ! なんで俺が人間のガキの魂なんて届けないといけないんだよ! だいたいそんな娘の魂届けたところで報酬なんて少ないだろ!」  ツバサも負けじとダン! と勢いよく机に両手をついた。 俺たち天使の仕事は、届ける人間の相手のランクによって報酬が変わる。 影響力を持った人間、つまり価値のある人間になればなるほど、その見返りも大きいのだ。 「もっとこうデカい仕事はないのかよ。芸能人とか政治家とか……こんなんじゃ家賃どころか……」 「バカもん! お前みたいなぐうたらな奴に、そんな仕事を任せられるはずないじゃろ! それに、影響力の強い人間の仕事を失敗すれば、それだけリスクも大きくなるのじゃぞ」 「……」
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