生意気娘

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 そんなことを考えて、公園の横道を歩いていた時、突然ツバサの耳に声が届く。 「ちょっと! その猫捕まえて!」 「は?」  突如聞こえてきた声に、ツバサが怪訝そうに振り返った。すると視界に一匹の猫が飛び込んでくる。 「うぉっ!」と声を上げると同時に、デカい黒猫はツバサの足元の間をするりと抜けて、公園の茂みへと飛び込んでいった。 「あーもう! 逃げたじゃん!」  再び同じ声が真後ろで聞こえてきて、ツバサは慌てて振り返った。 すると目の前には、少し茶色味がかった髪を揺らした制服姿の女の子。 あからさまに怒っているようで、口を尖らし、腰に両手を当てている。 「ちょっと! なんで捕まえてくれなかったのよ!」 「なんでって……なんで俺が猫を捕まえなきゃいけないんだよ」  突然現れた相手に、ツバサが目を細めて苛立った声で答えると、今度は女の子の後ろから眼鏡をかけた静かそうな男が走ってきた。 「おじさんごめん! 猫逃げちゃった……」  女の子はパチンと手を合わせると、その男に頭を下げた。すると男性は柔らかに目を細めて答える。
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