生意気娘

3/3
前へ
/20ページ
次へ
「いやー僕の方こそごめんね。関係ないのに一緒に探してもらって……あとは一人で探すから大丈夫だよ」  そう言うと男性はぽりぽりと頭をかきながら、公園の中へと消えていった。 そんな彼の後ろ姿を見ていた女の子は、くるりと振り返るとツバサをギュッと睨む。 「せっかくあの人の飼い猫捕まえれそうだったのに、あんたのせいで逃しちゃったじゃない! 最近猫が殺される事件が多くて危ないんだからね!」 「は? そんなもん俺に関係ないだろ。だいたいなんだよお前、さっきから生意気な……」 「私の名前は天城百合奈。ちゃんと名前があるから『お前』じゃないですー」 「あまきって……まさか」  べーっと舌を突き出してくる相手に、ツバサは一瞬目を丸くした。そしてすぐに、今日一番のため息を漏らす。  ゼツ婆に無理言って受け取った仕事だが……一瞬、コイツ死ねばいいのにって本気で思ってしまった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加