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未だ頭を下げたままのクリスに思わず抱き寄れば、クリスはガタガタと震えている。
その身体は彼だけ極寒の地にいるような冷たさで、彼の吐く息すらも冷えていて白く見えるほどだ。
「せ、先輩!クリス神官が!」
「この冷たさは何だ。とにかく温めよう」
ギル先輩が真っ先に駆けつけて、自身の上着を彼に掛けて擦ったり、直に彼の肌に触れて人肌で温めようとする。
「わ、私、体温高いので、私が温めます!」
「わかった。じゃ、俺は毛布を集めて、あと火を焚いた方が……」
「僕を……王宮の……広間に……」
ギル先輩の腕をクリスが掴む。
「そんな状態で行ってどうする!?」
「いいから!……早く!」
クリスの気迫に私とギル先輩がたじろぐ。
そこにロイド隊長もやってきてくれる。
「彼の症状自体、我々にはどうにもできん。彼を王宮の広間に連れて行こう。フレアは温め続けてくれ」
より温められるように、私はクリスの服に手を入れて抱きしめる。
その状態でギル先輩の操る馬に乗せてもらい、隊長の先導で王宮まで駆ける。
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