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「……はい。さっき言えなかった話ですが、他の神官たちは貧困層の人々の体温を使い、この国の守りを固める計画を立てています。本来は日々体温を捧げて結界を維持する必要があったのに、今いる多くの神官ほそれを怠り、貧困層にそのツケを押し付けようとしています」
「何でそれをさっき言わなかったの!?」
「今まで、神官の結界で助かってきたのは事実ですし、あの大勢の前でその信頼が失われては国が崩壊すると思いました」
「……クリス神官はお前よりずっと思慮深いな」
ギル先輩が八つ当たりのように私に嫌味を言ってくる。
「体温を使い過ぎれば、今のお前みたいになるんだな」
「はい。触れている相手か、用意したエリアにいる人の体温を使えまして、命を取らないレベルで体温を使えもしますが、それには高い技術が必要です。彼らは貧困層を人扱いしていないので、たぶん多くが死ぬ事になります」
「でも、国を守る為でもあるんだよね?他に手が無ければそうするしかないの?」
「……今、考えています」
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