冷たい手

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ギル先輩が私を睨み、クリスは苦笑いを浮かべる。 「まぁ、そういう言い方もできますね。ただ、僕自身、彼らの仲間にはなりたくないし、仲間だとも思われたくはない、かな」 今まで柔らかかった雰囲気に一瞬だけ敵意が混じる。無害そうな一面しか見ていないため、その一瞬は余計に印象に残る。 そろそろ巡回に戻ろうとした時、近くで悲鳴と獣の雄叫びが聞こえた。 私たちが駆けつけると、狼に近い形をした毒々しい紫色の魔獣が二体暴れている。 一体目は不意打ちを突いて倒し、もう一体は私が囮となって引き寄せてからギル先輩が留めを刺す。 倒れた魔獣はドロリと形が崩れてから、蒸発して消えた。 ふぅっと息をついて落とした帽子を拾っていると、側の路地から唸り声が聞こえる。 顔を上げた時には遅く、魔獣が私に躍り掛かってきた。 「精霊よ。弾いてください」 私は左手を引かれて後ろに退がり、反対にクリスが前に出て魔獣に左手をかざした。 魔獣が吹き飛び、形が崩れて消える。 私の左手にヒヤリとした冷たい感覚が襲う。
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