冷たい手

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「ダ、ダメです!王宮に連れて行かないでください!」 指令に従うため第六隊の仲間達が集まってきて人々を束ね始める中、クリスがギル先輩や第六隊のロイド隊長に懇願する。 しかし、神官は騎士団にとっては発言力のある相手だが、王宮からの指令の方がやはり上である。 騎士団に何を行っても無駄だと思った彼は、今度は貧困層の人々に呼びかけた。 「王宮に行ってはダメだ!確かにここも危険になるが、王宮だけはダメだ!」 呼びかけられた人々は彼の言葉にグラつき、足取りが重くなる。 「フレア、神官様を抑えていてくれ」 「私がですか?」 「お前が一番親しいだろ」 隊長と先輩に言われて、必死なクリスに寄る。あまりにも必死な姿に、私は問いかけた。 「何でダメなんですか?」 「それは、今は言えないけど……」 「何で言えないんですか?」 「……信頼、に、関わる、から……」 言葉の歯切れが悪くなり、俯くクリス。 思いがけず私は彼を抑える事に成功した。 第六隊の皆が「良くやった」という視線を送ってくるが、クリスの様子に私は居心地が悪い。
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