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お気に召すまま、齧りついて -壱-
二匹の猫が、顔を寄せ合っている。
なんと、微笑ましい。
どちらも、真綿のごとく美しい、真白き猫だ。
陽の光を弾いて煌めいている、滑らかで柔らかな被毛。
ふわふわの細毛を、これでもかと互いにくっつけ、すりすりし合っている。
あぁ。まことに、なんと微笑ましいのか。もふもふが、二匹。二匹も!
「うーん、もふもふぅ……」
「お前、最近よく見かけるな。柄の悪い奴らを引き連れて、でかい面してる新参者だろ?」
「あーら、お言葉ですけど。アタシ、とっても美しいだけで顔はでかくないのよ。それと、引き連れてるんじゃなくて、皆、アタシを慕って勝手についてくるの。柄が悪い子たちなのは否定しないけどー」
……え?
「ほぅ、お前を慕って勝手に? 親分ってことか? 新参者のくせに俺と同じって言いたいのか。許せんな」
「えー? 親分って、なんか響きが嫌だわ。せめて『頭領』にしてくれない? アタシ、呼び名にもこだわるの。何せ、美の追求者ですものっ」
ちょっ……何これ。猫が喋ってる?
「なんだ、こら。『親分』の何が悪い」
「何よ。アタシは正直に言っただけよ」
しかも、仲良くすりすりしてたんじゃなくて、因縁つけ合ってたのか? 全く逆っ?
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