プロローグ

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すると敏感な凜久は、いつもと違う私に気付いたのか 「……どうしたの?」 と不安気な表情で問いかけてくる。 そんな凜久に、思わず嘲笑してしまう。 そっか、だってあんたは私にアレが聞かれたこと知らないもんね。 なのにいきなり態度変わったらびっくりするよね。 ……なら、もうお互い演技はやめよう。 多分最初にこの良い子の面を被ったのは私だから、責めるつもりは全然ないよ。 けど、お互い騙し合ってるのも馬鹿らしい。 もう、いいよね。甘い夢はここまでだ。 「あ、のさ。聞いちゃったんだよね。言い忘れたことあったから戻ったら、凜久が私のこと話してるの」 多少の嘘は方便でしょ。 今まで散々騙してきたんだし。まあ最近は体が勝手に動くようになってたけどさ。 すると凜久はドキリとしたような顔をした。 ふん、やっとその『可愛い弟』も終わりかしら?
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