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にこりと笑った凜久に私も同じように笑い返して、そのまま反対方向へとお互い歩き出した。
「今のが噂の弟くん?」
私の隣で一部始終見ていた友達、香恋が待ちきれないとばかりに口を開く。
そういえば、一緒に教室行こうとしてたっけ。
「わかる?」
「うん、なんとなく似てるから」
「へぇ?」
「あっ、ほら、その笑った顔とか。美形姉弟羨ましい〜」
クスクスと声に出して笑いながら隣を見る。香恋も十分可愛いと思うけど。
羨ましいっていうのは兄弟の方かな?確か一人っ子だったっけ。
「にしても、噂に違わず良い子だねぇ、凜久くんだっけ?私にもちゃんと会釈してくれたし」
「ふふ、でしょう?」
なんたって私が躾けたんだから。
先程凜久が『また間違ってた』と言いながら届けてきたお弁当箱。
実はそれ、わざとです。
自慢の弟を見せびらかす為に時々逆にしまった鞄を渡すのよね。
私の方が朝起きるの早いから、お母さんが作ってくれたお弁当をそれぞれのスクールバックに入れてあげる。
そんな私に凜久は本当に嬉しそうにお礼を言うんだ。
いつもありがとう、って。たったこれだけなのに。
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