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その夜凜久に『昨日こんなことがあったんだよ〜』ともう開き直って面白おかしく話した。
すると一瞬硬直した後にまたいつものにっこり笑顔で『不思議な夢だね』って返され……って、あれ。
当時は何とも思わなかったけどもしかしたら凜久が一枚噛んでたのかな?
あの一瞬の間が怪しい……けど、いくら何でも姉に黙って勝手にメール消すなんてねぇ?
仮にそうだったとしても問い詰めたところでしらばっくれられちゃえばそれまでだし。
何しろ3年くらい前のことなんだからもう時効よね。
と、まさに寝ようとしていたところでバイブが鳴る。
見ると志摩さんから《明日会える?》というメッセージが届いていた。
それに《いいですよ》と返したらおやすみモードに設定して、今度こそ寝ようと目を瞑る。
それからは告白されることもなかったし、志摩さんが初彼氏。まさか初めてが大学生だとは思わなかったけど。
優しそうで、明るくて、すごく大事にしてくれそうな人。
身内以外にも私のことを一番に思ってくれる人ができるのかなぁ、とほんわかした気持ちで私は睡魔の波へと身を投げた。
――――そうやって、欲張ったのがいけなかったんだろうか。
次の日、朝起きた時にはもう弟の姿はなかった。
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