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なんて口では聞くものの、理由なんて一つしかない。
「ああ、香恋さん。……絃は?」
「丁度今帰っちゃったよ?待ち合わせがあるらしくて」
「……待ち合わせ、ね」
ふぅん、と声を漏らす凜久くん。ショックを受けてる、ようには見えないけど……。
「あっ、でも途中までは同じ道らしいよ?呼んでこようか?」
「いや、平気です。今日は僕も用事あったから伝えにきただけですし」
「……そう?」
「ふふ、気を遣ってくれたんですか?ありがとうございます。香恋さん優しいんですね。さすが姉さんの友達」
そう穏やかににっこり微笑む凜久くん。
綺麗な言葉遣いで、ちゃっかり私のことまで褒めちゃってる。
どこまでもできすぎた彼。年齢問わず、校内中にファンを大量発生させているだけのことはある。かくいう私もそのうちの一人だ。
……まあ最後はやっぱり絃のことなんだけど。
そんなシスコンっぷりも人気のプラス要素になってるから世の中不思議である。
たまに出る姉さん呼びもポイント高いよね。去年の二人を思い出して笑みが溢れた。
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