プロローグ

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大事に育てた弟のお友達が嫌な連中だったらこっちとしても気分悪いし。 すっかり『良いお姉ちゃん』モードに入ってる私はにこにこと笑顔を振り撒いてもう少し話そうとしたのに、焦った風の凜久に遮られてしまった。 「もういいでしょ?部屋に戻りなよ」 「え、凛ちゃ―――」 バタン、と無情にも閉ざされたドア。まだ私より小さいくせに私のことをぐいぐい押す力はちゃんと男で。 ……じゃなくて。ちょっと酷くない?このお姉さまの言葉を無視するなんて。 初めて見せる弟の冷たい態度に、悲しみよりも怒りが沸き上がってくる。 私の予想では例え友達の前だろうといつもみたいに甘えてくると思ってたのに。 けれど凜久から発せられた声は普段のものとは思えないほど感情が篭っていなかった。 ……まあ、丁度いい。 すぐさまそう思い直してピタリとドアに耳をつける。 いきなり身内が登場した後繰り広げられる会話は十中八九その人物のこと。 私がいる前じゃ恥ずかしかったのかもしれないけど、本音を探るチャンスだ。
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