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え、だって、……今のは誰の声……?
頭の回転が著しくスピードダウンする。
しかしぐるぐるといくら考えても、あの声変わり前特有の高めな声はやはり弟のモノで。
でも、だとしたら……あまりにも違いすぎる。
雰囲気も、内容も、何もかも。
勿論さっきのが猫を被ってるわけじゃない。至って通常運転だ。
その人が望むことを誰かに言われる前にやる。
とても中学生には思えない立派な長女。それが私。
本来の私がどうであれ、周りから見れば間違いなくそう映っているだろう。
『凛ちゃん』呼びだって、凜久に直接嫌がられたことなんてない。むしろいつも嬉しそうに応えるくらいだ。
なのに、なぜ?
と、そこまで思案して――――怖くなった。
確かに少し考えてみればそうじゃないか。
私が『良い姉』を演じてるんだから、凜久が『良い弟』を演じていたって何も不思議じゃない。
なんで今まで思い付かなかったんだろう。
散々、仲の良い姉弟だと言われ、羨ましがられ、飛びっきりの笑顔で『大好き』と弟に抱きつかれ。
そんなことにただ満足していた自分が、酷く滑稽に思える。
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