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その後、僅かに温度が下がったように感じるリビングから再び聞こえてきたゲームのBGMを背に、心が空っぽになった状態のまま自室に戻った。
それからは何をしていたのかわからない。
一番広い部屋に二人分の勉強机と二段ベッド。
私と凜久にそれぞれの部屋は与えられていなかった。
それでも狭いとは感じないし、周りと比べても段違いに仲の良い姉弟だったから十分満足していた。
けれど、今となってはこの部屋で弟を待つのが心苦しい。
気が付けば窓の外はオレンジ色に染まっていて、凜久の近寄ってくる足音が聞こえた。
「もう、お姉ちゃんここにいてって言ったのにー」
「……お友達はもう帰ったの?」
ガチャリと開いたドアと同時に見えたのはいつもの凜久。
カーペットの上に座っている私に甘えるように擦り寄ってくる。
……そう、これが凜久。私と二人の時は途端に甘えん坊になる。
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