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変わりゆく関係
それから時は流れ、私は高校生になった。
弟は中学二年生になり、この歳になると身長も抜かれ。
いつの間にか声変わりを終えたのか、以前よりは低くなったけれど低すぎないそれはとても聴き心地が良く。
顔立ちも元から整っていたのに加え、男らしさが垣間見えるようになった。
まあ、私から言わせればまだまだ可愛い弟に変わりはないんだけど。
「絃ー!また間違ってた!」
タッタッタ、と軽快なリズムでこちらに走ってくる凜久。
私も凜久も同じ私立の中高一貫校に入ったので、小学校を卒業して二年足らずでまた登下校を共にするようになった。
といっても、校舎は別々なのだけど。
私達高校生が南校舎で、凜久達中学生は北校舎。ちなみに渡り廊下で繋がっているから行き来は簡単。
「あっ、ごめんまたか」
息を切らしてやってきた凜久から薄紫のお弁当箱を受け取る。
そんな急いで来なくても良かったのに。
「ありがとう、と言いたいところだけど私これから移動教室で、」
「ああ、窓側の後ろから二番目だっけ?勝手に持ってくね」
「うん、ありがとう」
今度こそしっかりとお礼を言う。
さすが我が弟。みなまで言う前に意思を汲み取ってくれる。
机の位置まで覚えていたことにはやや感心するが。
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