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高い警笛のような音を立てて、一際激しい風が吹き空高く渦が巻上がる。
途端雨足も強くなり、容赦なく僕の身体にぶつかりずぶ濡れにしていく。
それはまるで背中を押してくれるようだと思った。
(さようなら)
何に対しての別れだったのか。
靴を履かない足を真っ直ぐ前に突き出して……もう一歩。
「んんっ?」
何故その時僕は天を仰いだのか。
……遥か頭上の空から何かがゆっくりと降ってくる。僕にはそう見えた。
ゆっくり、ゆっくり。おりてくる。
こちらに近付いて来る度に、鮮明になるその形。
(これは……)
脳内に某有名な国民的アニメのワンシーンが蘇った。
(『空から女の子がーッ!』……ってあれ?)
違う。決定的な何かが違う。
ラピュ●じゃない。あれは……あれは。
「お、男?」
しかもえらくゴツゴツとした大きな男だ。
ボディビルダーのような体格の。間違ってもあれはシー●じゃない。あんなに厳つくない!!!
「そ、空からマッチョがぁぁっ!!」
そう叫んだ瞬間、飛んできたマッチョと僕の視線が交差しぶつかった。
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