接吻と言うより栄養補給

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(りゅ、龍神?) 僕の頭の中には某有名漫画ド●ゴ●ボールのアレが身体をうねらせる姿が。 (龍神って龍だろ!? あの蛇のデカくてゴージャスな……見るからに人間……あ、人間じゃあないな) 人間にあんな芸当出来るなら、人類の可能性が広がりまくりだよ。 「慎太郎、寝てるの?」 (や、やばい! 母さんだッ) 軽いノックと共に、ドアノブが回される音。 ……声を上げる暇もなかった。 「あら。貴方……」 いつものスーツに身を包んだ母が、僕の部屋のドアを開けた。肩のあたりが濡れている。雨は降っていないはずなのに。 当然、彼を見て怪訝そうな顔をする。 (あー……) 誤魔化しの言葉も見つからず黙り込んだ時だ。 僕は見た。 彼が薄く微笑み、瞳が緑色に光ったのを。 「六花 龍士(ろっか りゅうじ)今から俺はお前の息子で16歳だ」 彼はそう言うと、パチンとまた指を鳴らした。 「……あら」 母がニッコリと微笑んだ。 「龍士もお兄ちゃんの部屋に居たのね! もうっ、返事くらいしなさい。二人とも夕食の準備手伝ってね」 それだけ言うと部屋を出て行く。トントンと軽やかに階段を降りる音。 「ふぅ……」 安堵の溜息。何が何だか理解できないけど、とりあえずこの場を凌げたことだけは分かった。 (でも、16歳は無理あるよなァ……僕の2個年下だぞ) 僕はドヤ顔の龍神(?)を横目で見てため息をついた。
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