エレン・ウォーカー

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エレン・ウォーカー

きっと、終わらなかっただろう。あの戦いの犠牲が無ければ、決して。何人が死んだのだろうか?あの、エレン総長さえ、あの状況にさせた。そして、戦いは終わったのだろうか?きっと、まだ続くだろう。血が流れる残酷な戦争は。誰も変えようなんてしなかった。きっと、これからも。 -1940年- この世界に「エレン・ウォーカー」が生まれた。人はこの誕生をこれから先、どう考えていくのだろうか? エレンという名前には、「聖人」という意味がある。この男「エレン」は、これから先、アメリカを、世界を変える凄まじい戦いに立ち向かった戦士である。 それから12の時が流れ、1952年。戦争が終わり、一安心したのもつかの間。アメリカを揺るがす大事件が起きた。それは、「冷戦」冷戦が始まってからは大分経ったが、一向に終わる気配がない。むしろ激化して行くばかりだった。アメリカは、また戦争が起きるのではないかと恐れていた。12歳になったエレンはその日、親に夢を語った。 「お母さん、お父さん、聞いて欲しいんだ。僕の夢を。」 2人は不思議そうに顔を合わせて、エレンを見つめた。 「もちろん、聞くとも、俺はお前の夢はなんでも後押しするぞ!なんせ男だからな!ふはははは!医者か?先生か?」 父親は明るく、笑顔で聞いた。子供の夢を後押ししてくれるのは嬉しいが、少しエレンは言いずらそうだった。 「あなた、エレンが話ずらそうでしょ?こういう時くらい黙ってなさい」 母親は相変わらず冷静だ。お父さんのツッコミをやってる。おかげで父親も冷静になれる。 「わるいわるい、続けてくれ。」 「うん、実はね、僕兵隊になりたいんだ。今あちらこちらでテロが起きてるでしょ?それを止めたいんだ。だから、僕を兵隊にさせてくれる?」 そう。冷戦が始まってから、テロが起こり、1回の戦いに死者数が100を超えると言う。だが、何故その危険な戦場に憧れるのだろうか?死にたいのだろうか?親は疑問に思った。 「何故その、兵隊さんになりたいんだ?べ、別に寂しいわけじゃないぞ!」 「この近くで戦争起きたでしょ?その時、僕は戦ってる兵隊さんを見たんだ。もちろん、撃たれて死んだ兵隊さんも見た。とても残酷だった。これが戦争なんだなって思ったよ。」 これは、一昨年の事だった。 テキサス州は、今まで戦争は起きなくて、平和だと言われていた。だが、その日全てを壊した。「テキサス州攻防戦」という名の戦争だ。テロリストは、ここに人が集まるだろうと、テキサス州以外の所で戦争を起こし、逃げた人民をテキサス州で殺すという作戦だったらしい。そして、平和だと言われていた為に、警備も薄く、簡単にテキサス州を占領して行った。TCUはテキサス州に来るのが遅く、人の避難も遅れを取った。完全に人の負けかと思った。だが、TCUは戦い続けた。撃たれても、爆発に巻き込まれても、諦めずに撃ち続けた。そのおかげで、テキサス州を奪還する事に成功した。人々はこれを 「テキサス州の奇跡」 と呼び、多いに喜んでいた。だが、その戦いは、結果、死者数600人、怪我人1000人という今までにない数字を出した。それを機に辞めた人もいるという。 だが、エレンはそれを見て「憧れた」らしい。 「ダメよ、エレン。そんな馬鹿げたこと、あなたは一昨年のあれを知らないの?憧れた?ふざけないで、そんなお金使いたくない。」 やはり反対される。エレンはそれを分かっていた。だから勇気を出したんだ。世界に勝つなら、母親に勝たなければならない。 「俺は、いいと思う。」 「え……?」 2人は驚いた。エレンと母親は、否定するだろうとばかり思ってた。父親は割と真面目な顔をしていた。これは本気だ。 「俺や、お前に、エレンの夢を駄目だって言うことは出来ない。そもそも、人ってのはやりたいって思えば、その欲望は、誰にも邪魔出来ないのだから。ここは、大人しく夢を叶えさせてやろうよ?子供の夢を後押しするのが、親だって、お前も言ってたじゃねーか」 「そ、そっか、でもね、エレン。死んだら許さないからね?私はあなたに死んで欲しくない。これはお父さんも同じだから。死ぬ気でやりなさい。そして、勝ってきなさい。運命に。」 母親は、涙を交えながらエレンにそう言った。そう、本当は、そんな戦場にエレンを行かせたくなんてない。こんな短時間で、母親は決意をしたんだ。死との瀬戸際に、エレンを、立たせることを。昔から、素直に泣けなかった母親の涙を、エレンは初めて見た。昔から、ずっと強がっていた母親。だけど、いつも一言一言が心に響く。素直になれないだけの母親が、本音を明かした最初で最後の言葉。「死んで欲しくない」 それをエレンは受け止めた。 「もちろんだよ。死ぬ訳にはいかないもん俺は勝つために兵隊さんになるんだから。夢を諦めてたまるか」 「約束、だからね……」 母親はエレンを力いっぱいに抱きしめた。エレンは、それにつられて泣き出した。 「えっとー、俺はどうすればいいんだ?こ、こうか?」 父親は2人を抱きしめた。 3人はその日、ご飯を食べずに3人一緒に寝た。エレンは、直ぐに寝てしまい、父親はエレンよりも先に寝ていた。 母親は、夜遅く、1人で何かをしていた。眼鏡をかけて何かを書いている。 朝、目を開けた。その時エレンの目には白い光が見えた。窓から差し込む。 「おはよう、お母さん、そんなとこで寝たんだ。」 エレンはそっと布団をかけた。すると、ぱっと起きた。母親はササッと机の上を片付けて、朝ごはんの支度をした。今日のご飯は、パンとベーコンエッグだ。エレンの学校は、一週間後に終わる。そして、TCUに入るための試験は、1ヶ月後であった。エレンは、そのための勉強も始めていた。試験内容は 筆記試験。実践。このふたつだ。エレンは勉強も運動もできる方だ。後は、練習あるのみだ。 「ごちそうさまでした」 「はーい」 静かに食器を片付けて、学校の準備をして、学校に行った。学校は3時に終わった。エレンは、走って帰ってきて、早速勉強をした。父親は仕事をして家にいない。実践練習は出来ない。だから、筆記試験の勉強を頑張った。 そんな日が一週間続いて、ついにエレンは、卒業した。これから1ヶ月は、TCU候補生育成学校という学校に通い、そこのテストに受かれば、TCU訓練兵になれる。エレンは、その寮に入るため、その日、親と最後の晩餐だった。 「いただきます」 「召し上がれ」 静かにご飯を食べる。今日のご飯はカツだ。母親なりに考えたのだろう。ご飯を食べてる時、母親は、エレンにこう伝えた。 「私はいつでも、あなたの味方だから。」 エレンはその言葉を宝物のように大事にした。そして、涙を流した。 「お父さん、お母さん、今まで、俺を育ててくれて、ありがとうございました!」 エレンのその感謝の言葉。親にとっては、これでお別れなんだなと、感じさせた。そして、2人は涙を流し、同時に 「強くなれよ!」 そうエレンに言った。 最後に、エレンはやりたいことがあるらしい。それは、父親との戦闘。 父親を倒したいと、エレンはそう言った。父親はそれを笑顔で受けて、構えた。 「容赦しないよ?」 「お前に容赦されるなんて思ってないよ。」 2人は笑顔で、取っ組み合いになった。エレンは父親の足を掴み、動きを止めた。 「お前にはいつも困らされてきた、いつもいつも生意気な小僧で、俺をからかってきたよな」 「お父さんだって、大人なのに、子供っぽくて、状況が読めないような馬鹿だ!」 2人はそのまま動かない。エレンは踏ん張って足を押すが、父親は動かない。そして、父親はエレンを床に叩きつけた。 「いってー、やっぱ、お父さんは強いね」 「お前にはまだまだ負けねーよ」 エレンは、父親の手を握った。笑顔で、エレンはこう言った。 「おつかお父さんを超えるから、待ってろよ?」 「ふっ、もちろんだ。俺も強くなるからな」 2人はそう約束をした。 明日から始まる。TCU候補生の日々。
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