弔い

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弔い

父親の死、戦場という経験、敵を殺すという罪悪感。色々学んだ「第2次テキサス州攻防戦」でも、そんな中、弔い式という名の葬式が行われる。死んだ兵士、民間人を一斉に弔う式だ。明日、確認出来た死体を一斉に焼き、葬式をする。エレンは、遺族として式に出る。 「今回は大分楽な戦争だったらしいな、初陣これにしとけば良かったよ。そうすれば、エレンやアランみたいに出世出来たかもしんねーのに。あいつら、ずるいよな」 候補生が2人で話していた。エレンはその話を聞いていた。何がよかっただ。この世に軽い戦争なんかない。エレンは怒りに身を任せ、2人に話しかけた。 「おい!お前ら、なんも知らねーで偉そうに言うなよ!あの戦場で何人死んだと思う!100人だぞ!そのうち八割が兵士で、2割が民間人、、、これが軽いとでも言うのか!お前らはまだ経験してねぇ弱虫だろうが、1回行ってみろ!絶望するぞ!」 「なんだぁ?エレン、たかが1度戦場に出ただけで英雄気取りか?おいおい、笑わせんなよ、お前だって出世狙って戦場に行ったんだろう?てめぇのような欲の塊に偉そうな事言われたくないね!」 エレンは、頭に戦場での事を思い出した。 【こうすることしか出来なかった。君の死は、決して無駄じゃないから。終わらせてくる。】 【きっと、こうすることしか出来なかったんだな。平和のためなら、人を殺し、殺される。仲間を失い、仲間を奪う。一体、いつになったら平和は訪れるんだ?】 【そこで見たもの。それは、キリアの死体と、兵士達の死体であった。 エレンは戦場を歩いて、死体を見て行った。 何も喋らずに巡礼していた。】 何もいい事なんてなかった。出世?そんなの、どうでもいい。終わらせる事だけが夢なんだ。こんな、こんな何もしていない、出世しか頭にないこのクズに、どうこう言われる筋合いはない。 「お前に何が分かる!!お前は俺達の、戦争を知らないだろ!仲間が倒れてく姿も、敵を撃つ罪悪感も、失った悲しみも!何もかも!どうせお前は!逃げてぐちゃぐちゃ言う弱虫だよ!努力するものは、夢を語る、だけどな、お前みたいな弱虫は所詮、後悔しかないんだ!そうだろ!行けばよかった?ふざけるな!お前なんか、戦場で死んじゃえばいいんだ!前線に立てよ!」 「人に簡単に死ねって言うのが本当に絶望した奴が言うセリフかぁ?俺にはちっとも絶望が感じられないんだが?」 2人は殴り合いになる所だった。だが、そこにアランとセウスが来た。セウスは2人を平手打ちした。そして、セウスは怒り出した。 「お前ら一体何してるんだ!お前は、確かグラウス・ベーカーか、お前、お前の言動は正直兵士として自覚がないものが言う言葉だ。実際行けばわかる。血の匂い、聞き苦しい銃声と喚き声。死んだ仲間の死体を見ること。」 セウスは怒りを抑えて、グラウスに注意をした。その目は、親のような目をしていて、成長を願うように、注意した。 「そして、エレン・ウォーカー、お前の言ってる事は何も間違ってない。だがな?そんなちっちゃい事を、許せる程の心を持たないと、何も強くなれない。強くなれ、兵士よ。」 エレンは、その言葉を心の奥で聞いた。確かに、こんな弱虫の事、無視すればよかった。こんな時間を無駄にすることもなかった。心を広くしろ。これが、セウスの伝えたいことなんだ。セウスは、その場を静かに去っていった。 「ごめん、俺が悪かった、何事も、経験しなければ、わからねぇもんな」 「俺も悪かった。お前の言動を無視すればよかった。」 2人で謝ったのち、解散していった。 そして次の日の朝、エレンは最後に父親の顔を見た。幸せそうに目を瞑っている。でも、目を開けることは無い。エレンの脳裏に、戦場で見たものがチラついた。エレンは、静かに涙を流して、語りかけた。 「ごめん、家族を守るために戦場に行ったのに、父さんを守れなかった。だけど、父さんのおかげで、助かった命もある。ありがとう、父さん、、、」 その言葉が最後となり、エレンの父親は燃やされた。エレンは、手に持っていた梟のキーホルダーを強く握った。そして、その場を去った。 昼頃、式場には、たくさんの黒い服を着た人間が集まっていた。 もう泣いてる人もいっぱい居た。エレンは、泣きそうになったが、強がって耐えた。もう、父親に涙は見せれない。 その後も、色々長い話があり、暗い雰囲気だったが、エレンは頭に入らなかった。もう正直、何も考えられない。エレンは1人、悲しみに暮れていた。 そこに、アランが来た。アランはエレンを見つめて、話しかけた。 「エレン、ここから去ろう?こんな所にいたって、悲しみが増すだけだ。」 「……そう……だな…」 エレンは、外に出た。建物の屋上に、2人で立っていた。少し強い風に揺られ、暫く話さなかった。だが、そんな中、アランは口を開いた。 「エレン、聞いて、この戦いは、多分終わらないよ。でもね、誰かがやらないと、終わらすことさえ出来ないんだよ?エレン、君はその1歩を踏み出したんだ。たった1回殺しただけで、そんなに悲しむんだったら、兵士はやっていけないよ?」 風で髪が揺らいでいる。波を打ったように。エレンは、涙目で、アランの顔を見た。 「俺たち、一体、なんのために、戦ってるんだ?あの敵、全員殺せば終わるのか?」 「それは、僕にも分からない、分からないから戦うんだよ、僕はそれを成し遂げる夢がある。エレンだって、夢があるだろ?最後まで、戦い続けようよ」 エレンは、屋上の端に立ち上がった。そこで、強い風に当たっていた。そして、涙を吹いた。そして、 「ここで死ねたら、楽なのにな」 そう言って、エレンは会場を出ていった
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