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──その週もやって来た。「2人の時間」
お互い、平日に休みがあるのも考えもの。
──ふと、浮かんだ……真由の言葉。
────続く沈黙に、ふと、思い出した……昨日のアイツらとの会話。
目が合って、止まった。
──凄い緊張する。え、聞く気はなかったけど、聞いてみたくも……
────褒める?何を、飯?じゃねーよな。髪型?えっと……
「……ねぇ、私のこと、好き?」
「……あー、今日、めっちゃ可愛い」
──え?
────ええ?
「「何て?」」
「……私のこと……」
「……うん、まぁ。うん。好き……かな。お前が、俺のこと……好きなのと同じ、くらい」
「何だ、大して好きじゃないじゃない」
「じゃないじゃない?」
「……」
「顔、赤……」
時計を見ると……まだ、午前。拓真が立ち上がって窓を閉める。それから、カーテンも。
────何だ、女じゃないか。まだ。
──何だ、まだ、こんなに……ドキドキするんじゃない。
「朝からすんのなんて、大学生だなー」
「そうね、全部脱ぐ……なんて……どれくらいぶり?」
「手抜いて、ごめん」
「まぁ、さっさと終わらせたかったし」
「……ひでぇ」
「気になるからね、ほら。色々」
「今日は、子供たちは、まだ帰らない」
「もう、デキたら困るからね」
「ああ、そっち着せるのは……久しぶ……」
「もう!」
……押し返した肌の感触。……恥ずかしい中に……何だろう。心地良い。子供とは違う人肌。
こういう時間が、必要なんだろうなって、
話し合いの言葉も、必要で。思いやりも、役割分担も。
だけど、夫婦にしか出来ない……男と女にしか出来ないコミュニケーションもある。
また、明日からも続く同じような日々に笑えるように。
「俺は、一生この体しか抱けないわけ」
「そらそうでしょ。お互い様」
「ん、でも考えてみたら、凄くないか?」
……
「そっか、うん」
夫婦って、そうか。
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