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────仕事で出掛けた先に見えた、黄金の稲穂の海。鈴なりのみかん。海辺を歩くヤドカリ。妙に旨いトマト。大したもんじゃない。
だけど、一番に教えたくなる。一番に顔が浮かぶ。旨いもんを食えば、紗季にも、子供たちにも食わせてやりたいって思う。
何だ、あるじゃないか。どんな絶景にも劣らない。毎週やってくる日曜日の情景。
毎日やってくる、慌ただしい朝。
並んで飲むコーヒー。二杯目の紅茶。俺はストレート、紗季はレモンを浮かべて、俺より色の薄くなった紅茶を飲む。
そこにあるのが、きっと……思い描いたブループリント。
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