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休日は、子供がいる。何だかんだ時間は過ぎる。今の課題は……二人の時間をどう過ごすか。あと20年か、30年程経てば、二人で旅行とか……そんな楽しみもいいかもしれない。
子供も完璧に手が離れる程でもない。お互いの両親もまだ元気で、仕事もそれなりに波に乗った。家のローンも心配ない。
今はまだ、変に、男と女……なのだ。世間的にも、夫婦的にも。微妙な、空気に……会話もなければ、笑い合うことも勿論、ない。逃げ出したいくらい。
だけど……これからずっとこんな時間が少なからずある。正直、こんな時間を夫と過ごすより一人でのんびりしたい。
気まずい空気を破ったのは、どちらかの言葉……ではなく、拓真のスマホからの着信音。そこから、漏れるのは女性の声。拓真の顔が和らいだ。
私をチラリと見るとリビングから出ていった。
そうだ、私がどうであれ……
拓真を“男”としてる見る女性はいるわけで……拓真が私をどうであれ、拓真が“女”として見る対象は……あるのかもしれない。
電話を終え、再びリビングに戻った拓真は再び無表情だった。
私達の会話は、子供の事。これが殆どを占める。それが終われば……
「食事、どうする?」
食べ物の話。保険の話。車の話に、支払いの話……
あれ?夫婦としての全ては、手に入れた。
子供、マイホーム、社会的地位。 二人を育てるのに必要な収入見込み。何もかも。
つまり、課題は……この後、どうする?
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