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紗季は気持ち的に余裕が出来たのだろう。 少し前まではパンツスタイルばかりだった様に思う。化粧も家ではしない日が多かった。 いつからだ?ふわりとスカートを翻す。 メイクする日が増え、髪も綺麗にセットされ仕事へと向かう。楽しそうに。世間的には、紗季はまだ独身でもいける年齢だ。 元々少し童顔なのも手伝って、小学生の子供がいるようには、見えない。 何だか気にかかった。俺と二人だと、つまらなさそうな紗季に。今までどう過ごしていただろうか。何だか他人のような彼女と。 あれ?思い出せるのは、恋人だった記憶。新婚旅行くらいまでは、何とか。それからは……母親になった記憶。 ……妻の記憶は……どこ行った。 仕事へ向かう紗季は妙に綺麗だ。ただ、しばらく、そのことに全く気付けていなかった。
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