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人生の設計図は書いた通り。だけど……ここからは?描かれているのだろうかこれから先のブループリントには。最終的には二人、共に年を重ねる。その図は見える。
未来構想とか将来の設計・完成図。そんなのは見えている。なのに、そこまでたどり着く、第一歩を出し兼ねている。出し方が分からない。
……あの頃は……
──拓真は教授からの信頼も厚く、熱心で、憧れの人だった。そこにいる女子全員のって言っても良いくらいの。だけど、自分の空間に他人が入るのを酷く嫌がった。
だから、何で私だけなぜ拓真の空間に入れてもらえたのか、不思議で仕方が無かった。
ただ、一緒にいられるだけで、嬉しくて嬉しくて……
────紗季の事を好きになったのは俺からで、小さな手に長い定規。真剣な目。それと普段のちょっと抜けたギャップが堪らなくて……紗季の横顔ばかり、見ていた。いつも。やがて、俺の方を向いてくれたことが嬉しくて、俺に向けられた、はにかんだ笑顔。一生忘れないって……
名前を呼ばれただけで胸が高鳴った。
その可愛い声を聞く度、胸がくすぐられた。
……あれ?……
いつの間に?当たり前に横にいる。
男でも女でも無いような存在で。
……いつから消えたんだろう。あの感情は。
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