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「やっぱり女は褒めてやらないとね」
自信たっぷりにそう言った男は、結婚しても常にアンテナを張り巡らせては、女を口説いてる。結婚しててもいいなんていう女の多い事にも驚く。こいつは“外に女を求める男”
もう一人の男は、それを呆れたように見る。
「褒めてるけど、俺も。褒めなきゃってのじゃなくて……うん、よくやってくれてるし」
こっちは愛妻家。子どものことも溺愛してる。こいつは“妻の事を女とみる男”その妻を女だとみれなくなった男と、未だに妻を女とみる男のバトルを、酒を飲みながら聞いていた。
ただ、“外に女”を求めると……リスクが凄い。
「勿体ねぇよな、一条は。寄ってきてるってのに、まぁ、お前の奥さん、色気あるもんな」
「……いや……そうかな」
そうか、俺が女として見なかったとしても
紗季を女として見る奴は出てくるかもしれないわけで
……スカートをはいて髪を緩く纏める紗季の姿が浮かんだ。
そうか……女……だもんな。綺麗な方だと、思う。年を重ねて以前とは違う魅力が出てきた。
「会話……何喋っていいか、分かんねぇ」
そう言った俺に
「だから、褒める」
「そして、触れる」
2人からの端的なアドバイス。うーん……ハードルはなかなか高い。何で自分の妻に緊張しなきゃなんないんだ。今更。
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