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陶枕 ー銘 夢水ー
それがやってくる時は決まっている。
臓腑の底から震えあがるほど恐ろしいというのに、受け入れる体勢だけはすでに用意していることに、嗤うしかなかった。
狂ってしまえたら、永遠に嗤い続けていられるのだろうか。
いっそ、自分で自分の時を止めてみようか。全てが負のもとに吸い込まれていこうと、自分の知ったことではない。なぜ、俺は生きているのだろう。
足を割られる。これに、抵抗したことなどなかった。出来るわけがなかった。あるはずのない身体だ。あるはずのない感覚だ。あるはずのない、存在だ。
なのに俺は、自分の尻の穴に液体を塗りたくり、それの侵入をわずかでも和らげることをしている。
身体の真ん中に、杭が打たれる。何度も、何度もひたすら突かれる。
こうやってこれは、俺に楔を打ち込む。
俺をここに永遠に、紙の人形のように、貼り付けて動けないようにするために。
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