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プロローグ
むかしむかし、この世界は、動物も木々も自然界ありとあらゆるものが言葉を交わすことができた。そこには小人や妖精やドラゴン、はたまた得体のしれない神々の存在すらあった。だがいつしか、その声を聞かなくなった、いや聞けと命令し始めたものが出始めたのだ。
そこから動けない植物たちを馬鹿にし、神々たちが作った農作物を食い散らかし、その残り物を奪い合う動物を下げすみ、神まで愚弄し始めた。
するとその者達は争いを好むようになったのです。
神々は愚かなことをすると嘆き悲しみました。
いつしかその愚かな者たちを、人間と呼ぶようになった。
神々は世界中を闇の世界へと引きずり落し始めた人間にこれ以上この世界を荒らさぬように、争わなくてもいいように彼らに土地を分け与えました。
だがまたしても争いが起きてしまいます。
寒いところは嫌だ、熱すぎて嫌だ、わがままな人間に神々はそれならば好きにするがいいと、すべてのものたちとの会話をすること、聞くことすらできなくしてしまわれたのであります。
ただそんな人間ばかりではありません、中にはまじめに神々の声に耳を傾け、自然とともに生きてきたものたちがおります。
そしてここにもそんな心を持った素直な一人の若者がおりました。
一人の神様が彼だけはどうかこのままわれらの仲間としての力を残してやってほしいと言われましたが、ほかの神々が許しませんでした。
それならば、ここにいる十二人の神が彼に試練を与え、それをクリアすることができたならば、彼の力はそのままに、そして人間の王としてたたえてやろうではないかと言われました。
一人の神様は雨を毎日毎日降らせ、彼が少しでも神々を恨んだりしたら、そこで終わりと言われました。
ではやってみようということになります。
彼は、植物たちと話をして、すぐに対策を取り始めます、彼だけではありません、親兄弟も賛同し、彼とともに動き始め。大洪水が起きるまえに、動物も、妖精たちもありとあらゆるものたちみんなが避難して、彼たちをたたえあったのです。
そして洪水が去ると、その土地はもっと肥えた、植物たちの楽園になったのです。
次の神様は、それなら今度暑い毎日にしてやろうと言います、ぎらぎらと太陽の照り付ける日々、若者は、植物や動物たちに声をかけ、少しでも涼しい場所がないか捜し歩き、洞窟の中で寝た時に、奥で水がわいているのを見つけ、動物たちに知らせます。彼らはそこから水をくみ上げては、歩いている時にこぼれる水を動けない植物たちに与えました。
その水の落ちたところにはいつしか川ができ、大きな湖ができました。するとどうでしょう、冷たい北風が一度吹くと、辺りは暗くなり、恵みの雨が降り始めました。
その洞窟の水はそれからも一度も枯れることなくわき続けたということです。
十二人の神々は、若者に試練を与え続けましたが、彼はすべてをこなしていきます。
それは決して一人でできることではありませんでした。そう、彼には大事な仲間がいたのです。
ですが、神様はまだその事を知りませんでした。
そして最後の神様の試練、それは植物が病気になってしまうことでした。
彼は仲間からの助言をもとに、いろんな声を聞きました。それは地の奥から聞こえてくるかすかな声や、空の彼方から聞こえてくる世界の王、ドラゴンの声、水の中で泳ぐ魚たち、貝、ヒトデたちからも声を聞き歩き。
人間の手で、薬を作り植物の病気を治すことができたのでした。
神様は、やっと若者には多くの仲間がいることを知ります。そして、この若者に力を貸してくれた人間十一人を選び出し、彼らに、国を与え十二の国は争うこともなく、もっと仲良く暮らしていくことを約束させました。
動物たちには平和に暮らせる場所を、あるものには森を、あるものには海や川を、あるものには空を、大地を駆け巡ることのできる草原を与えました。そして人間と動物をつなぐ仲介役として十二人の人間にはあるものが見えるようになりました。
その者たちは、一年に一度、人間と動物たちがちゃんと共存できているかを神様に伝えなくてはいけません。それが冬まつりの起源です。
そして若者も恋をし、子供が生まれました。神々は祝福の証として一本のバラを託します。
そのバラは、神々が彼の子孫を守るという証でもありました。
人間の王は、世界中の声を聴き、それを人間に伝えるという役目を果たすようになります。
一年で一番日の短い夜に行われる神様のお祭りは、人間がおごり高ぶることなく自然と共存して、神様の声を戒めとして人間に聞かせるものであります。
冬まつり、それは何百年も国の繁栄と世界の平和を願う世界中の生き物たちの祭りとして永遠に続いていくことになったのでした。
「銀の本より」
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