第三話 ローズ屋敷

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第三話 ローズ屋敷

 ふわふわのベッド、気持ちいい。 「あれ?寝てる?」 僕が寝てる、僕は立って僕を見ていた。 「へんなの?」  ステッキを持って、探険だ! 隣の部屋は…姉さんが寝てる、いい匂い、風呂にでも入ったのかな? 隣は誰もいない。 いっぱいある部屋、誰もいないのが怖くなってきた。 そうだ、食堂へ行ってみよう。 「ありがたいですね、コックの奴、だいぶ力が入ってましたからね」  食事してるんだ、美味しかったもんな。 そこには、僕と話をした男とクラウドとシャンデリアから助けてくれた男。若い女性と年のいった女性はお揃いの女中の服を着ていた。 「でも、何で今さら」 「凄かったぜ、杖でどんと叩いたら消えたんだもん」 「クラウド、あんたなんか知ってるのかい?」 「クラウド?どうかした?」 ワインを手にラッパ飲み、何さ、偉ぶってたくせに。 「ん?」 「どうかしたか?」 「誰だ、ドア開けたの?」 風かとか言ってる。 「しっ!」 「なんだよ、お前おかしいぞ」 「誰かいる!?」 「は~?本当におかしくなっちまったかね、さあ私しゃ寝るよ、まったく、友達も呼べなくなっちまった」 「私も寝る、あの人、自分でできそうだからいらないよね」 「そうも言ってられんだろ、首切られたらどうするんだ」 「そっか、ここでていかなきゃいけないんだ、考えるよねー、お休み」 「クラウド、あんたに呼ばれたから来たけど、給金もあんな子供じゃもらえないだろ、早いとこ返事をおくれ」 「そうそう、あんなガキ、ウソだったらどうすんだよ、あの人の言う通り、さっさと売っちゃえば?」 「うるせーよ、さっさと行けよ」 はい、はいと言って二人の女性は出て行った。 「なあ、クラウドよ」 「なんだ」 「本当に、あいつら本物か?」 「たぶんな、あの本の解読が出来ればいいんだが」 「できなかったのか?」 「ああ、ものすごい魔法だ、もし、あの話が本当なら、二人はまさしく王家、あー、頭が回らん、すまない、俺も寝る」 「魔法、本当に魔法か?」 「なんだとー?俺が嘘ついてるとでもいうのか!」 「まあ、まあ」 「明日どうするんだ?」 「コックにはちゃんと言ってある、いつも通りで構わん」 「はいよ、じゃな」 「これみんな喰っていい?」 「いいけど、食いすぎて腹のボタン飛ばすなよ」 「わかってるよ、服が小さいだけさ、こんなの腹の足しにもならねえよ」 なんか悲しかった、歓迎されているわけじゃないのはわかっていたけど、来ない方がよかったのかもしれない。  俺はいつの間にか、あの絵の所にいた。 「じいちゃん、俺たちここにいてもいいのかな?」 すると、隣の絵から光がこぼれているように思えた、確か、爺ちゃんのお父さんとお母さんだって?あれ?何でそう思うんだ?あーねながら聞いていたのか。 その絵の前に立った、この人たちが、俺の祖先なのかな? すると、その絵に中にスーッと引き込まれる感じがあった。  ハア、ハア、息苦しい。何でこんなに暗くて狭い所にいるんだろう。 「ごめんね、待ってて、もう少し、お願い、もう少し待って」 女の人の声だ。 ア~、ここは箱の中なんだろうか。そんな感じがした。 「マーサ、早く」 今度は男の人だ 「パパ、足が痛い」 ん?ねえちゃん? ああ、ここは母さんのおなかの中なんだ。そう思えた。 そして、俺は光の中に出てきた。 あ、じいちゃん。 「お願いです、どうかこの子たちを」 「ああ、わかっておる、すまない、私が国を捨てたばかりに、娘のお前達にまで迷惑をかける」 この人たちが母さんと父さん? 「お父様、そんなことはおっしゃらないで、私は幸せだったわ。どうか、私達の分まで生きて」 「お父さん、生きていたらいずれ会いましょう」 なんか顔がぼけていてわかんないや、覚えてないからかな? 「早く行け、夜が明ける前に」 「マーサ、ポデット、どうか、元気で、愛してるわ」 「愛してる、義父さんお元気で」  二人にキスされた、じいちゃんが僕を抱いてる、振り返りながら走る二人。 「母さん!父さん!」  目が覚めた。ここは、あー、ローズ屋敷か。大きなベッドは、あまりにも大きすぎて、なんかさみしいような気がした。
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