第三話 ローズ屋敷

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 姉さんに中庭に出ないかと誘った、そして、クラウドには下がってもらった、ここなら話は聞かれない。 「あのね」 俺は昨日の夢のような話をした。 「私も見た、もしかして、母さんと父さん?」 「うん、そうなんだ、おかしいと思わない」 「うん、何で、おじいちゃんに預けて逃げたんだろう」 話を聞く? でもね、こんなことがあったんだと食堂の話をいうと。 「私もおかしいと思っているの、もし、おじいさんのころに仕えていた人たちなら、もっと年上か、あの人たちは代変わりした人たちになるわ、息子や、そうね、孫とか。そうか、だから、でもな」 姉ちゃんも考えがまとまらないようだった。もう少し探ってみないといけない。 「お待ちください、ハイン殿下」 「殿下、お待ちを!」 屋敷の方からにぎやかな声が聞こえてきた。 「ここに居たか偽物!」 「お待ちください」 そこには、最後の王様がいた。 「息子?」  姉ちゃんの声でわかった。こいつが、エド王の子孫だ。 赤黒い髪の毛はくせっけなのか縮れているけど、きれいにしてある、若そうに見えるけど僕よりは上だよね。眉毛は太く、まあるい鼻、唇は大きく分厚い、僕の知らない国の人みたいだ。 姉ちゃんは俺の腕をつかんだ。なんだか怖いと姉ちゃんの後ろに隠れた。 震えてる、姉さんを守らなきゃ!と僕は一歩前に出た。 「へー、兄弟か、大変だなクラウド、だからこんな屋敷、焼き払ってしまえばよかったんだ」 僕はステッキを掴んだ。 「それが、家宝ねぇ、ただのガラスがついてるんじゃねえの?」 僕はバラの飾りを握りしめた。 「まあ、女の方はやっちゃえばよさそうだし、なあ、俺の子供産んでくれよ、そうなりゃ、この国は名実とも俺のもんだ、ハハハ」 来いよと手を伸ばした、僕はそれをステッキでたたいた。 「汚い手で触るな、外道」 「イッテーな!ハー?お前らの方が外道じゃね、外から来た偽物さんよ」 何だこれ、きったねーの。と言って、エッグのバラの花を投げた。俺はそれを取りに駆けだした。 走るのは大の苦手だったけど、彼女が危ないと思ったら、手を伸ばしていたんだ。 「あっ!」 ずさーっ。 クラウドさんの方が早かった、大きな体は俺よりも先にバラを守ってくれた。 「大丈夫ですか?」 転んだクラウドさんが起きながら、はいどうぞとバラをくれた、中は?大丈夫だ。転んだ体を支えてくれた、あーあ、あちこちに擦り傷が出来ちゃった。なんか悔しくて、涙が出てきた。 「泣き虫かよ、あほらし、帰ろうかなと見せかけて、行こうぜ、ベッドで教えてやるよ」 また姉ちゃんの腕を取った。 俺は怒りで、体が熱くなるのを覚えた。 ステッキを手に取り。その男に向かって振り上げた。 「我々よりも年上に見えるあなたにこのような屈辱、貴様など、この国から追放してやる!」  風が足元から舞い上がり今にも体から炎が飛び出していきそうだ。 「ポト!」 「ご主人様!」  男は腰を抜かしたのかその場に座り込んだ。 「だめー!!!」  俺の目の前に手足を広げたエッグが立ちはだかった! すると姉ちゃんが抱きついた。 「我慢して」 「何でだよー」 姉ちゃんに抱かれながら僕は泣いていた。 姉ちゃんが手を伸ばすとその中に倒れこんだエッグ。 「起きれますか」 クラウドが手を差し出した。 「な、なんなんだ、誰に向かって口をきいているのだ?」 「あれが見えませんか?」 振り返り俺たちのほうを見る二人。 「何がだ!」 「ハイン様、貴方は今から、王位をはく奪させていただく準備に入ります、お屋敷にお戻りください」 「な、なんだ、お前にその権限があるのか?」 「あります、やはり、ギュターは王家の筋ではなかったことが今証明されたのですから」 「それはなんだ!」 「すぐにわかります、お連れして」 「クラウド、貴様覚えてろよ!」 男は、みんなに引っ張って連れて行かれた。 姉ちゃんの手のひらに乗るエッグを掴んだ。 「エッグ―」 「よし、よし、よく我慢したね」
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