52人が本棚に入れています
本棚に追加
/208ページ
姉さんに中庭に出ないかと誘った、そして、クラウドには下がってもらった、ここなら話は聞かれない。
「あのね」
俺は昨日の夢のような話をした。
「私も見た、もしかして、母さんと父さん?」
「うん、そうなんだ、おかしいと思わない」
「うん、何で、おじいちゃんに預けて逃げたんだろう」
話を聞く?
でもね、こんなことがあったんだと食堂の話をいうと。
「私もおかしいと思っているの、もし、おじいさんのころに仕えていた人たちなら、もっと年上か、あの人たちは代変わりした人たちになるわ、息子や、そうね、孫とか。そうか、だから、でもな」
姉ちゃんも考えがまとまらないようだった。もう少し探ってみないといけない。
「お待ちください、ハイン殿下」
「殿下、お待ちを!」
屋敷の方からにぎやかな声が聞こえてきた。
「ここに居たか偽物!」
「お待ちください」
そこには、最後の王様がいた。
「息子?」
姉ちゃんの声でわかった。こいつが、エド王の子孫だ。
赤黒い髪の毛はくせっけなのか縮れているけど、きれいにしてある、若そうに見えるけど僕よりは上だよね。眉毛は太く、まあるい鼻、唇は大きく分厚い、僕の知らない国の人みたいだ。
姉ちゃんは俺の腕をつかんだ。なんだか怖いと姉ちゃんの後ろに隠れた。
震えてる、姉さんを守らなきゃ!と僕は一歩前に出た。
「へー、兄弟か、大変だなクラウド、だからこんな屋敷、焼き払ってしまえばよかったんだ」
僕はステッキを掴んだ。
「それが、家宝ねぇ、ただのガラスがついてるんじゃねえの?」
僕はバラの飾りを握りしめた。
「まあ、女の方はやっちゃえばよさそうだし、なあ、俺の子供産んでくれよ、そうなりゃ、この国は名実とも俺のもんだ、ハハハ」
来いよと手を伸ばした、僕はそれをステッキでたたいた。
「汚い手で触るな、外道」
「イッテーな!ハー?お前らの方が外道じゃね、外から来た偽物さんよ」
何だこれ、きったねーの。と言って、エッグのバラの花を投げた。俺はそれを取りに駆けだした。
走るのは大の苦手だったけど、彼女が危ないと思ったら、手を伸ばしていたんだ。
「あっ!」
ずさーっ。
クラウドさんの方が早かった、大きな体は俺よりも先にバラを守ってくれた。
「大丈夫ですか?」
転んだクラウドさんが起きながら、はいどうぞとバラをくれた、中は?大丈夫だ。転んだ体を支えてくれた、あーあ、あちこちに擦り傷が出来ちゃった。なんか悔しくて、涙が出てきた。
「泣き虫かよ、あほらし、帰ろうかなと見せかけて、行こうぜ、ベッドで教えてやるよ」
また姉ちゃんの腕を取った。
俺は怒りで、体が熱くなるのを覚えた。
ステッキを手に取り。その男に向かって振り上げた。
「我々よりも年上に見えるあなたにこのような屈辱、貴様など、この国から追放してやる!」
風が足元から舞い上がり今にも体から炎が飛び出していきそうだ。
「ポト!」
「ご主人様!」
男は腰を抜かしたのかその場に座り込んだ。
「だめー!!!」
俺の目の前に手足を広げたエッグが立ちはだかった!
すると姉ちゃんが抱きついた。
「我慢して」
「何でだよー」
姉ちゃんに抱かれながら僕は泣いていた。
姉ちゃんが手を伸ばすとその中に倒れこんだエッグ。
「起きれますか」
クラウドが手を差し出した。
「な、なんなんだ、誰に向かって口をきいているのだ?」
「あれが見えませんか?」
振り返り俺たちのほうを見る二人。
「何がだ!」
「ハイン様、貴方は今から、王位をはく奪させていただく準備に入ります、お屋敷にお戻りください」
「な、なんだ、お前にその権限があるのか?」
「あります、やはり、ギュターは王家の筋ではなかったことが今証明されたのですから」
「それはなんだ!」
「すぐにわかります、お連れして」
「クラウド、貴様覚えてろよ!」
男は、みんなに引っ張って連れて行かれた。
姉ちゃんの手のひらに乗るエッグを掴んだ。
「エッグ―」
「よし、よし、よく我慢したね」
最初のコメントを投稿しよう!