プロローグ

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 歴史は繰り返すといいますが、いつの間にか本の事はみな忘れ、何百年と続いた国々も、もはや愚かなもたちの力が強くなり始め、十二の国々も今はそれぞれの国を守るだけとなり始めて、つながりすらなくなってしまっておりました。  ある物は神々を愚弄していた人間に成り下がってしまったのだ、とまで言っておりますが、なすすべはもはやなさそうであります。  そして、今。  神が与えた試練でありましょうか。人間だけではなく、動物たちまでもが死んでいく、それもみな若い命のままに病にかかりなくなっていく。人間は二十歳まで生きながらえるのはほんの一握り、そして動物は、生まれても三年と生きながらえるものは少なくなってきていて。  人々はその病をこう言った。  大人になれないで死んでいく病。  二十歳まで生きられない神に見放された奇病。  大人になれない病。と・・・  子供たちは、どこかあきれ顔で毎日生活をし、二十を超えた大人たちもいつ死ぬかもしれないという恐怖を感じながらも、この世界に臨むことはなく、ただ淡々と日々を過ごすしかなかった。 貧困が蔓延し、子供たちは食べるものもなく路頭に迷い盗みで生計を立てるしかなかった。大人たちはそれに対抗すべく、暴力に出る。 各国の王たちは自分の国を守ろうとし始め、協定などする余地もなく、戦火を招こうとし始める国々も出始めていた。  そしてここは、そんな世界の北に位置する国の中にある小さな町。 主人公がどこかへ出かける様ですよ? 「うー寒い」 空を見上げると、重く暗い雲が広がって、今にも雪が降りそうです。 体をぶるっと震わせて、重そうなコートの襟を合わせ、手にはステッキを持ち、ゆっくりと地面につきながら歩き始めました。 大きな木のそばには、木でできた粗末な門、それを開けると、ギーッときしむ音がした。 風が大きな木を揺らし、残っている枯葉がカラカラと音を立て地面に落ちてきました。 「まずいな、早く行ってこなきゃ」 体をゆすり上げると、肩から斜めにかけたカバンの中でカチカチと何かが当たる音がして、彼が歩くたびに、その音を引きずっていきました。 彼の向かう先には町があるようです。  さて、これから彼にはどんなことが待っているのでしょう? 物語が動き出したようです。 さあ、皆さんも一緒に彼の物語を覗いてみましょう。
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