51人が本棚に入れています
本棚に追加
僕のいる部屋は、おじいちゃんの部屋だったんだって、初めて来たときもこの部屋だった、だからかな、それを聞いたら落ち着くような気がしたのは。
腰をさすりながらの作業ははかどるわけもなかった。
三日目、どうしても欲しいものがあった、キッチンからのぞく。コックが出て行った。
「しめ、しめ」
「オホン、ご主人様、何をなさっているのですか?」
僕は、ごみ箱のふたをあわてて閉めた。振り返ると、腰に手を当て仁王立ちのコック。
僕は素直に話した、ごみがほしいと。
「肥料ですか?」
「うん、よく知ってるね」
前のコックたちはしていたそうだ、王様が変わってからはしていなかったらしいという。
外に連れ出し、温室の横に開けた大きな穴を見せた。俺には大きいけど、他の人は小さいなんて言うんだろうな。
「ウップ、これは?」
「温室で腐っていた植物を穴に入れたんだ」
そこに今もらってきたゴミを入れて、ぐちゃぐちゃとかき混ぜた。
「こんなので肥料になるのか?」
「うん、これを乾燥させればいいんだ」
もう一つ穴を掘らなきゃな、食事の後に、貰いに行ってもいいか聞くと、構わないが、動物が来て食い荒らさないようにしろと言われた。
僕は、彼にこういったんだ。
「ありがとう料理長」
すると彼は、照れたのか、頭をかきながら、手を振って行ったんだ。
「フフーン、抜け目ないもん」
爺ちゃんの家でしてたんだもんね、よし、後は蓋をしてと。
さて、やる事やっちゃおう。
「親方」
「ん?」
「あの人は?」
「ああ、何でもこの屋敷の跡取りだそうだ、俺は知ったこっちゃないがな」
「ふーん」
「葉っぱ片付けとけよ」
「はい」
「んーやっぱり、枯葉がほしいな、ん?」
そこには、掃除をしている僕と同じくらいの子。走って行った。
「ねえ、君、それどうするの?」
「枝は台所で使う、葉っぱは燃やす」
「じゃあ頂戴」
「頂戴ってすごい量だぞ」
ちょっと待ってて。僕は、クラウドにもらった大きな布を持って行った。
「これに入れて!」
その少年はタオと言った。
「へー、俺も十三だ」
「よかった、同じ年の子がいて、俺はポトよろしく」
山になった枯葉や切り落とした葉、布を巻いて担ぎ上げた。よたよたとした足取りに彼は後ろから支えてくれた。
「だ、大丈夫かよ」
「平気、平気」
タオは後ろからぐっと持ち上げて支えてくれた。そしてその布をごみの上にかぶせた。
「これは?」
肥料を作ってるんだ、さあ戻ろう、もう一回ぐらいでいいだろう。
タオの手伝いをして、枝は紐で巻いてきた。
「手際がいいんだな」
〈うちでもやってたもん。これでいい?〉
うんと言う彼とその枝をキッチンへと運んだんだ。
それからタオは、時間があると僕を手伝ってくれたんだ。
一週間がたって、やっと整理できてきた。
すると、どうしても必要なものが出てきたんだ。
「そうね、部屋にある薬草が手にはいればな、ポト?ポト?」
「お疲れなのでしょう、お部屋に連れていきます」
食べながら眠ってしまった。
「こんなに手が荒れて」
クラウドは手をやさしく握ってくれた。
ひょこっと顔を出したタオに、頼みごとをした。
「いいけどー、おっかねえぞ」
「別に悪い事をしてるんじゃないんだ、つれて行ってくれないか?」
タオの親方の所へ連れて行ってほしいと頼んだんだ。
「親方―、いますか?」
「何でぃ、タオ、仕事終わったのか?」
「ポト、ご主人様をお連れしました」
「主人だと?」
「おはようございます、お聞きしたいことがあってお邪魔しました」
わっ、この人も年寄りだ。
「忙しいんだ手短に頼む」
僕は、バラの手入れに必要なものがあるかと尋ねた。
「悪いな、俺は嫌いでね、どうもとげと相性が悪くていけねえや。スコップなんかはあるが、ほとんどねえだろうな、そこの小屋にあるもんは好きに使っていい」
「いいんですか?ありがとうございます、それともう一つ」
僕は、タオをあす一日貸してほしいと頼んだんだ。
「構わねえ」
「ありがとうございます」
それともう一つ、まだあるのかと言われた。
「今度、木を剪定するときは、僕も呼んでください、では失礼します、行こうタオ」
「木の選定?変なやつ?」
最初のコメントを投稿しよう!