第十四章 心 前編

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第十四章 心 前編

何度も、同じ夢を見る。 「っぅ、けく……ん……!」 目の前の少女の顔が苦しみに歪んだ。 やめろ。 やめろ。 やめろ! もうやめてくれー! 「っ!!」 優介は飛び起きた。 「はあ、はあ、は……」 心臓がばくばくと脈打っている。 息は激しく切れ、額にはびっしょりと冷たい汗をかいていた。 優介は乱暴にそれを拭う。 全力疾走したあとのように息切れする体を落ち着けようと深呼吸をする。 段々と呼吸は落ち着いてきたが、優介の心は鉛が沈んだように重いままだった。 「また……あの夢か」 起こしていた上半身を再びベッドに沈ませ、腕で目元を覆った優介は嘲笑した。 ベッドサイドに置いてある時計を横目で見ればまだ明け方の五時。 学校に行くまで二度寝するくらいの時間は十分ある。 だが優介は眠るつもりはなかった。 「眠ったって……夢見るだけだろ」 朝日まだ昇らない、暗い部屋の中自分に言い聞かせるように優介は呟いた。  
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