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第一章 旧校舎
時刻は夜の七時三十分。小鳥遊優介(たかなしゆうすけ)は今、人生最大のピンチを迎えようとしていた。
(何でこんなことに……)
心の中でぼやく優介が今立っている場所は優介が通っている高校の旧校舎の前。
部活動も終わり学生が誰もいなくなった学校はただでさえ気味が悪い。そして、平成になっても未だに取り壊されていないこの木造二階建ての校舎は、昼でも異様な雰囲気を放っているが夜はまた別の不気味さがあった。
なるべくなら、いや、絶対に夜は近寄りたくないこの場所に十分程前から優介は立ち尽くしていた。
(なんでよりによって旧校舎なんかに携帯を置いてきちゃってんだよ、おれ……!)
絶望したような顔の優介。
話は少し前に遡る。
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