第一章 旧校舎

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「あれ?」 携帯がなくなっていることに気づいたのは、部活が終わり家に帰ろうとする直前だった。 帰りのHRが終わったときに見たのが最後だったのは覚えている。 絶対にないといけない物ではないし普段なら明日探せばいいかと思えるのだが、明日から学校は三連休に入ってしまうのだ。 折角の三連休だ。友達と遊びに行くかもしれないし、三日間もないのはさすがに不便だ。 そう考えると、携帯依存症ではない優介も今日中に見つけておかなければならないという気になった。 ……のはいいのだが、部室や教室をどこをどう探しても見つからない。 「ない……」 春になったとはいえ、夜の7時ともなれば外は暗くなってしまう。蛍光灯で照らされ、外とは対照的に明るい教室で一人困っていると。 「何がないんだよ?」 「わっ!」 突然後ろからかけられた声に驚き振り向くと、そこには優介の良く知る人物が立っていた。 「脅かすなよ、友哉……」 「はは、お前が勝手に驚いたんだろ。優介はホントびびりだよなー」 「びびりってお前……。失礼だな。何の用だよ」 「せっかくだから一緒に帰ろうと思ってさ、お前のあと追っかけてきたんだ」 けらけらと笑いながら優介の肩を叩くこの男は、篠崎友哉(しのざきともや)。 優介の部活仲間で中学からの親友だ。
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