第二章 異変

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ベッドに倒れこんだままの体勢の優介の口から、再びため息がもれる。 「何だよ、それ……」 珠美に投げかけたのと同じ言葉がまたこぼれた。 今の自分のままだと、また今日みたいなことが起きる? 意味が分からない。 意味深なことばかり言っておいて、選ぶのは自分? そんなの、実際は選ぶ権利なんてないじゃないか。 だって。 (知りたいに、決まってる) 旧校舎にあんなものがいるなんて知らなかった。 放課後、掃除に行ったときはいつも通りだった。 そう。いつものように陰から送られる死者の視線を感じていた。 なのに。 自分に何が起こったか、知りたいと思うのは当然だろう。 本当なら、あそこで珠美にすぐ聞きたかった。 だが優介は結局、聞かなかった。 聞けなかった。 何故か、躊躇してしまった。 珠美に言われたから。それだけではなかった。 知りたいと思うのと同時に、何故か知ってはいけない気がしたのだ。 『知らないほうがいい』 『忘れてしまえ』 頭の片隅で、そう言われているかのように。 知りたくない。でも知りたい。 忘れたい。忘れられない。
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