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「で、何がないんだよ?」
再び尋ねてくる友哉に優介は携帯が見当たらないことを話した。
「それで探してたんだけど、教室にも部室にもなくてさ」
「お前な……。一人で探すんじゃ効率悪すぎだろ?そういうときは手伝ってやるからさっさと言えよな」
「ん、ありがと」
「よし、じゃあとりあえず電話してみるか」
呆れながらも協力してくれる気の友哉に感謝しつつ、友哉の携帯から優介の携帯へと電話をかけてみるが教室内では着信音は鳴り響かなかった。
やはり教室にはないようだ。
ならばと部室でも同じことをしてみたが結果は同じ。
「優介ー、お前一体どこに携帯置いてきたんだよ」
「それが分かってるなら今頃おれは家に着いてるよ」
軽口を叩きあいながらも携帯を探し続ける二人。
「とにかく探すしかないなー。ま、こういうときは最後に見た場所からお前が行った場所を辿れば絶対見つかるだろ」
「今日の放課後は部室以外行ってないよ、おれ」
(さすがに廊下で落としたりしたら気がつくし)
廊下を歩きながら考えていると突然友哉の足が止まった。
「うーん……。あ!お前今日の掃除どこだった?」
友哉のその言葉を聞いた瞬間、優介はこれ以上はないというほど目を見開いた。
一箇所だけ探すのをすっかり忘れていた場所があったのを思い出したのだ。そしてそこは優介にとってなるべくなら近寄りたくない所。
それは。
「……………旧校舎」
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