第二章 異変

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「……はっ………」 優介はその場に膝をついた。張り詰めていた緊張の糸がぷつんと切れてしまったように体に力が入らなかった。 助かったようだ。 「立てる?」 珠美がしゃがんで優介と目線をあわせながら聞いてくる。 (……またジャージ着てる) つい彼女の服装に目がいってしまった。 珠美はロゴの入ったロングTシャツに昨日履いていたのとは違うタイプのジャージと思われるハーフパンツを着用していた。 昨日も思ったのだが、ジャージが好きなのだろうか。 そこまで考えたところで珠美が黙ったまま優介の顔を覗き込んでいることに気づき、慌てて返事をする。 「う、うん。あの、助けてくれて、ありがとう」 差し出された珠美の手に自分の手を乗せ、立ち上がりながら礼を言う。 すると珠美はきょとんとして優介を見つめてきた。 「助けた訳じゃないよ。うちの前で死なれたら警察やらなんやらが来て騒がしくなるでしょ?」 それが嫌だったから。 「そ、そうなんだ」 そう続けた珠美に何と返していいか分からず、優介はあいまいな返事をした。 しかし、珠美は優介の返事には全く興味がなかったようだ。 「さて、せっかく優介君が命がけでうちまで来てくれたことだし、ゆっくりお茶にでもしようか?」
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