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久々の相楽家。
玄関で出迎えてくれた珠美は表情がどこか堅く感じたものの、やつれているとかそういうことはなく、元気に見えた。
……久しぶり。
そう声をかけた自分に珠美はぎこちなく笑いながら同じ言葉を返してくれた。
そんな単純なことに優介はほっとした。
よかった。
普通に会話ができる。
通されたリビングで優介は圭の様子を聞いたり学校でのことを話したりした。
珠美の家はいつもと変わらない。
きれいで時間がゆっくりと流れていく。
変わってしまったのはきっと……二人の距離。
それでも、少し前まであんなにぎこちなく接していたというのにまた前のように話ができることが優介は嬉しかった。
自分からもう関わらないと言ったのに、本当に身勝手だとは思ったが。
また、少し前のように戻れたらと思ってしまう。
「……優介くん」
ふと。
弾んでいた会話が途切れたときだった。
笑顔を消し去った真剣な面もちで珠美は優介の名を呼んだ。
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