第二章 異変

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それにしても。 先程から頭の奥がギリギリと痛む。 少し前までは我慢できないほどの痛みではなかった。だが、段々と痛みが強くなっている。 吐き気が襲ってきそうだ。 (何なんだ、この頭痛……) 「私の話よりも、君大丈夫だった?」 「え?」 頭の痛みに耐えかね、目を閉じていると珠美が聞いてくる。 何のことだろう。 なんというか……彼女の言葉はいつも突拍子がない。 「昨日忠告したでしょ?また昨日みたいなことが起こるかもしれないって」 「あ……」 そういえば、そんなことを言われた記憶がある。 「ま、今日の様子を見た感じだとあんまり大丈夫とは言えないみたいだけど」 「おれ、今日になってからいつもより視えるようになってて……。家にいても窓に手形がつけられたりしてて……っつ」 痛い。頭が締め上げられているように痛む。 優介の額にじわりと脂汗がにじんでくる。 「……頭、痛い?」 突然聞いてきた珠美は何を思ったのか、左手を伸ばして優介の額に触れてきた。 まるで、熱でも測るかのように。 汗をかいている優介に触れるのに抵抗はないのだろうか。珠美の手はとても冷たかった。 だが。 彼女に触れられた途端、耐えられないと思ったほどの痛みがすうっと消えていった。 少しだるさはあるものの、うそみたいに頭はすっきりしている。 「今……何をしたの?」 「何もしてないよ」 優介の表情が和らいだのを見て、珠美は手を離す。 何もしてない……? 信じられない。 彼女が触れると同時に痛みが引いたというのに。偶然にしては、タイミングが良すぎる。 はぐらかそうとしているのではないか。 そう思うと、なんだかいらいらしてくる。 昨日聞きたいことがあれば来いと言ったのは珠美だ。ならば、根掘り葉掘り聞きたいことを聞いてもいいはずだろう。 問い詰めようと息を深く吸ったときだ。 ~~♪♪ 優介の携帯電話がスラックスのポケットの中で着信を告げた。
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