第十九章 魂の牢獄

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どっと、珠美の瞳から涙が溢れ出した。   これでもう二度とこの子と言葉を交わすことはない。 来未は今、本当の意味で死を迎えたのだ。 どうしようもなかったのだと頭では理解しても、心がまだついていってくれない。 本当は嫌だと喚きたい。 でもこれしかなかったのだ。 自分にできることはこれしか。 「おねえちゃん……て、呼んでくれると、思わなかったな……」 最初で最後の。 どうか。 「どうか、来世で幸せになって」   ただそれだけを祈っている。 両腕で抱き締めていた少女から、今は片腕で抱けそうなほど小さな赤ん坊。 それを、珠美はそっと抱き締めた。 重さはない。 この子は実体を持たない魂だけの存在なのだから。 それでも、眠る赤ん坊を起こさないように、大切に抱き止める。 「……っ、ふっ……」 涙が止まらなかった。
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