第十九章 魂の牢獄

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この子は珠美を憎んでいた。 今は穏やかに眠っている。  最期に姉と呼んでくれたのは、許してくれたからなのか。 珠美にはわからなかった。 それでも。 どちらであっても関係ない。 この邂逅は、きっと奇跡で。     ずっと昔に自分がかきけしてしまった、小さな命。 大切な大切な、珠美にとってたった一人の妹。 例え憎まれていたとしても。   「ずっと、顔、見てられる、なぁ……っ」 どうしようもなく愛おしかった。 ずっとずっと会いたかった、たった一人の妹。 姉妹としていられた時間はほんの一瞬しかなかった。 もっと、一緒にいたかった。 「でもっもう、休ませてあげないと……っ」 ぼろぼろに傷ついた来未を癒せるのは、自分じゃない。 安らぎを与えられるのは、ここじゃない。 この子にふさわしい場所に。 彼岸に、送らなければ。 「最期まで……一緒だからね」 溢れる涙をぬぐいもせず、珠美は意識を集中させた。
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