717人が本棚に入れています
本棚に追加
息が、つまった。
優介がかつて自分の力を受け入れたきっかけを作ったのは、珠美だ。
彼女の強い力によって救われた。
そう思っていた。
でも、違う。
あの日、呪われた面をつけてしまった少年に大怪我を負わされた。
その結果、優介は自分を守っていたミサンガを失った。
珠美は、激怒した。
何故勝手なことをしたのかと。
そして。
『……生きてて、よかった……っ』
か細い声で、珠美はそう言った。
今にも泣きそうな表情で。
そして、どんなものも見捨てられないことに葛藤する優介を、それでいいと、認めてくれた。
少し呆れたような顔をしながらも、笑って。
それが優介らしいことだと言ってくれた。
ああ、そうか。
関係ない。
関係ないんだ。
ただ自分は、珠美が本当にそう言ってくれたから、だから、受け入れられた。
救われた。
最初のコメントを投稿しよう!